遥か~新選組桜華伝~


「ち、違いますっ!
一本は沖田さんの分です!」


「冗談ですよ。
ありがとうございます」


沖田さんはお団子を受け取ると、自分の隣をポンポンと叩いた。


座ってってことだよね?


「お邪魔します」


腰を下ろすと、近くに穏やかな川の流れが見える。


頭上の枝から、ひらひらと花びらが水面へ舞い降りる。


きれい……。


「綺麗でしょう?僕のお気に入りの場所なんです」


微笑みながらも、彼はチラチラと先程の花見客のほうを伺っている。


目が笑ってないんだ……。


「沖田さん……?」


不安になって見上げると。


いつの間にか沖田さんの視線は、私の手元に向けられていた。


「遥さんが食べてるそのお団子、美味しそうですね…」


沖田さんはいたずらっぽい笑みを浮かべると、私の串のお団子をパクッと食べた。


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