遥か~新選組桜華伝~


「新選組ですって……」


「あの人斬り集団の人間か」


「早くここから離れよう。斬り合いに巻き込まれたくない」


聞こえてくるのは新選組を蔑むような言葉……。


人斬り集団…か。


彼らをよく知らない人々には、そう見えちゃうのかもしれない。


新選組の主な仕事は、不定浪士や討幕派の取り締まりだもん。


斬る斬られるという修羅場を何度も経験して、今の彼らがいるのは間違いない。


でも……。


ここで彼らと毎日を共にしてきた私ならわかる。


彼らは意味もなく人を斬ったりしない。


国のため、将軍様のためと、強い信念を持って生きていることも。


未来に残された資料じゃなく……全部全部この目で見てきたんだ。


「随分恐れられてるようだな。
新選組のお偉いさんよ……」


怯える人々を横目に、浪士が笑った。


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