遥か~新選組桜華伝~


ふと、叫び声が聞こえた後ろを向く。


と、若い男女が青ざめた顔でこちらを見ていた。


「なんで弥彦が新選組に捕まっているんだ」


「あんな恐ろしい人達に…どうしましょう」


オロオロと慌てた様子の二人。


この人達はもしかして……。


「この子の両親みたいですね。
騒ぎを知って駆けつけたんでしょう」


沖田さんが二人のほうを見ると、それだけで肩をビクビクと震わせている。


お父さんお母さんが見つかってよかった。



でも……。


二人を探してくれたのも、この子を守ってくれたのも沖田さんなのに。


この子も、両親も、見ている人も……


どうしてそんな目で沖田さんを見るの?


おかしいじゃん……!


「あのっ!」


思わず前に出ようとした私の手を、沖田さんが掴んだ。


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