遥か~新選組桜華伝~


「どうして……。

どうして、そんなに強くいられるんですか?」


正面に立つ、孤高な背中に問いかけた。


沖田さんは一瞬動きを止めて、そしてゆっくりと振り返る。


「守りたいからです。

……この国の未来を」


優しくて真っ直ぐな声が届いた。


彼の淡い髪が太陽に照らされて輝く……。


「近藤さんも土方さんも国のために命をかけている。

彼らのために、僕ができることなんて少ししかないんです。

落ち込む暇なんてありませんよ」


ふふっと笑うと、沖田さんは一歩、一歩と近づいてくる。


近藤さんや土方さんのため……か。


どこまでいってもあなたは優しい。


それが″沖田総司″という人なんだろうな……。


考えているうちに、沖田さんは私の目の前で足を止めた。


< 150 / 276 >

この作品をシェア

pagetop