遥か~新選組桜華伝~
「どうして……。
どうして、そんなに強くいられるんですか?」
正面に立つ、孤高な背中に問いかけた。
沖田さんは一瞬動きを止めて、そしてゆっくりと振り返る。
「守りたいからです。
……この国の未来を」
優しくて真っ直ぐな声が届いた。
彼の淡い髪が太陽に照らされて輝く……。
「近藤さんも土方さんも国のために命をかけている。
彼らのために、僕ができることなんて少ししかないんです。
落ち込む暇なんてありませんよ」
ふふっと笑うと、沖田さんは一歩、一歩と近づいてくる。
近藤さんや土方さんのため……か。
どこまでいってもあなたは優しい。
それが″沖田総司″という人なんだろうな……。
考えているうちに、沖田さんは私の目の前で足を止めた。