遥か~新選組桜華伝~
「それに今は、未来に希望が見えましたからね」
「え?」
キョトンとしている私を、沖田さんの優しげな瞳が映した。
「…遥さん。あなたのことです」
そう言われた刹那。
強い風が吹いて、桜の花びらが空に舞う。
私が……
未来への希望?
「どういう…ことですか?」
二人にゆっくりと舞い降りてくる花びら。
その一つが私の目先に落ちる。
「遥さんが未来から来たこと、それは。
この国がずっと続いているという証じゃないですか?」
そう言って、沖田さんが手を伸ばしてくる。
「……っ」
前髪に触れた手に、まぶたがピクリとなる。
と、沖田さんがクスッと微笑むのが聞こえた。
その手には桜の花びら。
髪についてたんだ……。
「あなたみたいな優しい人が育つ未来なら、
新選組(ぼくら)も信じて戦っていくことができる」
沖田さんは愛おしげに、手のひらの花びらを見つめている。