遥か~新選組桜華伝~
「だから、希望をくれてありがとうございます」
「沖田さん……」
真っ直ぐな言葉に胸が打たれたとともに、ズキンと痛んだ。
沖田さんが信じる日本国の未来──。
それは、新選組にとって悲しいものに他ならない。
彼らの仕える幕府は数年先にも滅び、
新選組は苦しい戦いの末、新政府軍に敗北する。
それに……。
「どうしましたか?」
うつむいて目を伏せる私を、心配そうに覗き込んでくる。
沖田さん……。
あなたが肺結核にかかり、あと数年の命なんて……。
想像するだけで涙が出そうになって。
「……っ」
夢中で──沖田さんの着物の胸部を、両手で掴んだ。
その拍子にひらり。
沖田さんの手から桜の花びらが舞い降りる。
それはゆっくりと地に降りると、風に吹かれて消えていった。
これからの彼らを示しているかのようで、胸の痛みが増していく。