遥か~新選組桜華伝~









日がほとんど落ちてしまった夕暮れ時。


屯所に戻ると、玄関先で近藤さんが出迎えてくれた。


「ただいま戻りました」


会釈する沖田さんに合わせて、私も頭を下げる。


「おかえり。花見は楽しめたか?」


「すごく綺麗でしたよ。

これ、頼まれていた桜の枝です」


沖田さんから、花がいっぱいについた枝が手渡される。


「これは見事だな」


近藤さんはゆっくりとため息をつくと……


「そういえば総司。
中庭でおまえを探してる隊士がいたぞ」


手のひらにグーを当てながら言った。


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