遥か~新選組桜華伝~
「嘘ですね」
「あぁ?」
反抗の声を聞いて、私は自分の目の下を指差してみせた。
「目の下、真っ青ですよ」
「……っ」
土方さんはハッとした顔をすると、すぐに目を吊り上げる。
「人の顔ジロジロ見てんじゃねえよ。
俺は忙しいって、前にも言っただろ」
「それは、遥空のことですか?」
「あぁ。一日でも早く見つけ出す。
おまえだって早く未来に帰りたいだろ」
両手を組みながら、力のある眼差しを向けてきた。
土方さん……。
出会った日の約束を守ろうとしてくれてるんだね。
ぶっきらぼうな言葉の中に込められた優しさに、胸が熱くなる。
でもね……。
「私は未来に戻りたいとは思いません。
これからも、みなさんの傍にいたいです……」
胸に手をあて、小さな声で呟く。