遥か~新選組桜華伝~
「土方さんの変態!
勝手に遊郭でも何処でも行ってください!」
「そういう意味で言ってんじゃねよ」
言いながら、土方さんは私の右手首を掴む。
そして私の着物に視線を落とすと
「けど…おまえに綺麗な恰好させるってのは悪くねえな」
不敵な笑みを浮かべた。
「化けると思うぜ?
島原の花魁に負けない美女に……」
「意味が…わかりません」
怒り口調で言って、そっぽを向く。
「怒んなよ。
今度いい着物買ってやるからさ」
土方さんは私の髪をぐしゃぐしゃと撫でると……
「ま…着せても、俺がすぐ脱がすだろうけど」
低い声で囁いて、歩いて行ってしまう。
「何よ……」
結局ただの変態じゃん。