遥か~新選組桜華伝~
そんなの……
「絶対絶対ぜーったい着ませんから!」
背中に向かって、思いっきり叫んでやった。
知らないもん。
あんな俺様エロ男の言うことなんか。
「ふっ」
息を吐くのが聞こえたか思うと、土方さんはひらりと片手を上げる。
「それなら、せいぜい抵抗してみろよ。
その真っ赤な顔でな」
振り返りもせずに、廊下の曲がり角へと消えていった。
顔なんて見えてないくせに……。
真っ赤になんて……。
そっと頬に手を当てると、それはすごく熱かったんだ──。