遥か~新選組桜華伝~


「すげぇー!美人じゃねえか」


「はるかわいいっ!武士の家のお姫様みたいっ!」


永倉さん、平助くんが興奮気味に言う隣で。


「……」


一さんは、目を見開いたまま固まっている。


「なんだ一?
遥ちゃんが可愛すぎて、言葉も出てこねえってか?」


原田さんが肘で一さんの背中をどつく。


「ち、違う」


顔を赤くしながら、バッと顔を反らす。


「俺ははるを可愛いなんて一言も……!」


言いながら顔を上げる一さんと、ふと目が合った。


「いや、でも可愛くないってわけじゃなくて……。

その…似合ってるよ」


目を細めると、優しげな笑顔を見せてくれた。


「褒めすぎです」


一さんも、皆も。


なんか照れちゃうよ。


左手で右手の袖をきゅっと掴みながら、うつむいていると、手を取られた。


「むしろ褒め足りないですよ」


声が聞こえて下を向く。


< 169 / 276 >

この作品をシェア

pagetop