遥か~新選組桜華伝~
「……っ」
わずかに当たった先が切れ、鈍い痛みが走った。
この刀……
まさか、本物……!?
人に刃物を向けているというのに、男は表情一つ変えない。
「あなた達こそ、何なんですかその格好。
刀まで持って、捕まりますよ?」
「何を言ってるんだ!
捕まるのは屯所に進入した貴様のほうだ!」
屯所!?
ここはうちの道場のはずでしょ!?
全然話についていけない。
「黙っていれば文句ばかり言いやがって。
我らが誰だかわかってその口を聞いてるのか!?」
「し、知るわけないじゃないですか」
「なら教えてやる。
我々は幕府の命で京の警護をしている新選組だ」
「しん…せんぐみ……?」