遥か~新選組桜華伝~
*
*
*
*
*
土方さんが連れてきてくれたのは、屯所から少し離れた通りの、高そうな料亭。
女将さんが奥の個室に通してくれると、赤い台にお膳が用意されている。
お寿司にお鍋に、小鉢に入ったお料理がたくさん。
だけど、それは一人分しかない。
「おまえの分だ。食い終わる頃には、迎えに来る。
帰ったら、俺の相手もしてくれよ?
もちろんその恰好でな」
そう言い残し、土方さんはすぐに行ってしまった。
これから遊郭に行く人が何言ってるのよって思う。
綺麗なお姉さんにでも、相手してもらえばいいじゃない。
ムスッとしながら、お吸い物が入ったお椀に口をつける。