遥か~新選組桜華伝~









土方さんが連れてきてくれたのは、屯所から少し離れた通りの、高そうな料亭。


女将さんが奥の個室に通してくれると、赤い台にお膳が用意されている。


お寿司にお鍋に、小鉢に入ったお料理がたくさん。


だけど、それは一人分しかない。


「おまえの分だ。食い終わる頃には、迎えに来る。

帰ったら、俺の相手もしてくれよ?
もちろんその恰好でな」


そう言い残し、土方さんはすぐに行ってしまった。


これから遊郭に行く人が何言ってるのよって思う。


綺麗なお姉さんにでも、相手してもらえばいいじゃない。


ムスッとしながら、お吸い物が入ったお椀に口をつける。


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