遥か~新選組桜華伝~
「ありがと。しばらくは俺も総司も稽古できないなー」
そう言って、平助くんは隣の布団に眠っている沖田さんを見つめる。
「…コホッ」
喀血は収まったものの、眠りながら咳をしている。
いつの間に、こんなに悪くなっていたのだろうか。
これから彼はどうなってしまうんだろうか。
考えただけで、また胸が痛くなった。
「はる、あとは総司の傍にいてやれよ。
怪我人の手当ては俺で最後だろっ?」
平助くんが私の腕にトンと触れて、笑う。
「ありがとう。
じゃあこれを片付けたらー…」
言いながら、手当てに使った手ぬぐいや桶を手に取った。
「だーめ。それくらい俺が片付けるからっ!はるはここにいてっ!」
パッと平助くんが私の手から桶を取る。