遥か~新選組桜華伝~
「総司は池田屋に行く途中も、ずっとはるを心配してた。
目が覚めて、はるがいなかったら大騒ぎするじゃん」
なんてため息交じりに言いながら、私を沖田さんの枕元に座らせた。
「じゃあ俺は行くから」
「えっ!ちょっと平助くん…!
まだ動いたら……!」
平助くんは手当てに使った物を集めると、襖に手を開ける。
「このくらい大丈夫だしっ!はるは心配性なんだよっ!
手当てありがとなっ!」
ニコリと微笑むのが見えて、やがて閉ざされた。
「行っちゃった……」
平助くんてば、もう通常運転だ。
でも。
そのほうがいい。平助くんの笑顔が見れてよかった。
静まり返った部屋で。
沖田さんが、コホコホと咳込むのだけが聞こえてくる。