遥か~新選組桜華伝~


「あのね、沖田さん。

石の力を使ったこと…私は後悔しない。

あなたを守ってくれたんだもん…後悔なんて、絶対しない……」


下を向くと、重ねた自分の手が震えているのが見えた。


「だけど私…殺しちゃったんです。池田屋にいたたくさんの人を、自分の意志で。

人を殺したくないと遥空に言っていたくせに。

長州の方に言われちゃいました、化け物って……」


零れ落ちた涙が沖田さんの手の甲に落ちた。


私が強ければ、刀で長州の侍達を止められたかもしれない。


でも実際刀を向けられただけで、怖くて動けなかった。


私は無力で、残酷で……。


たとえ望まないやり方だとしても、それでも。


″沖田さんを守りたかった″


「そのとおりですよね!あんな簡単に殺せちゃうんですもんっ。

今朝見た夢の中で、私は沖田さんを斬ろうとしていました。

絶対しないって思ってても、私は人を殺しました。いつか…あなたのことも殺してしまうかもしれない」


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