遥か~新選組桜華伝~


そのとき見えたのは、僕の大好きな優しい笑顔でー…


「今までありがとう、沖田さん」


ギュッと一度力を込めて握ると、離された手。


きっぱりとした強い言葉も。


まっすぐなその笑顔も。


新選組からいなくなる──あなたは覚悟を決めたんですね。


″誰も傷つけたくない″なんて。


あなたは優しくて、心のきれいな人。


出会ったときから、そうだった。


寒い冬の夜。


未来からあなたが来て、それからずっと見てきたんです。


いつも手当てしてくれる手も、稽古にむかうまっすぐ瞳も。


隊士と話すときの笑顔も、巡察への一生懸命さも。


あなたの人柄に、気づけば隊士みんなが慕い、大切に思うようになっていました。


もちろん僕も同じ……。


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