遥か~新選組桜華伝~
「では遥さん、そろそろ行きましょうか」
そう言って、沖田さんは手を伸ばしてくる。
「い、行くってどこに……?」
「屯所の中に決まってるじゃないですか」
「へっ!?」
急に手に触れられて、思わずバッと引っ込めてしまった。
ま、まずい……!
振り払っちゃったよ!
全身の血が引く思いで顔を上げると、沖田さんは心配そうに覗き込んでいた。
「すみません。恐がらせてしまいましたね。
けど、どうしても一緒に来てもらわなきゃ困るんです」
「…どう…して?」
この時代では現代の警察と同じ働きをする新選組。
私、もしかして……
捕まっちゃうの?
「あなたの恰好とか、突然屯所に現れたりだとか
今隊内では大騒ぎになっているはずです。
ここで逃げたりしたら、当然罪人扱いですよ」
「罪人扱い…」