遥か~新選組桜華伝~
ここは刀の時代。
一歩間違えば、さっきのように斬られてしまうかもしれない。
そんなの嫌だよ……!
私の不安に気付いたのか、沖田さんがぽんぽんと頭に手を置いた。
「大丈夫ですよ。話を聞いたら返してあげます。さあ」
微笑みながら、手を差し出てくる。
安心させるような優しい言い方。
沖田さんは私を助けるためにそう言ってくれてるんだ。
こうなったら私も、覚悟を決めるしかないよね。
沖田さんのことを信じる覚悟を……。
「はい」
目を閉じて大きくうなずくと、手を握り返した。
「行きましょうか」
沖田さんの声を合図に私達は屯所へ向かった。