遥か~新選組桜華伝~

二 桜華石に選ばれし少女










私が通されたのは屯所の一番奥の和室だった。


「少しここで待っていてください。僕は副長を呼んできます」


部屋につくなり、沖田さんはそう言って出て行ってしまった。


広い部屋にポツンと一人。


なんだか落ち着かない。


時代劇で見るような本格的な和室。


床の間には掛け軸があって、その下は立派な刀が飾られている。


多分新選組の偉い人の部屋なんだと思う。


沖田さん……

早く戻ってきてくれないかな……?


出会ったばかりなのに、沖田さんがいないと不安になる。


ドキドキともやもやが混じったような気持ち。


これはなんなんだろ……。


碁盤の目のように張られた障子を眺めながら、


ボーッとしていると、ガラッと扉が開く音がした。

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