遥か~新選組桜華伝~
ガタガタと震える私を見つめ、男の人は口角を上げる。
「よく見りゃ可愛い顔してんじゃん。
答えねえなら俺の好きにさせてもらうぞ」
耳元で低い声で囁かれて、心臓がドクンと跳ね上がった。
男の人は私の髪に触れながら、ゆっくりと顔を近づけてくる。
唇が触れてしまいそうなくらいの至近距離…
やだ…っ!
「助け…て……!」
強く願った───・・・
その瞬間。
「…うっ!」
急に男の人が苦しそうな声を上げ、私の方へ倒れこんできた。
「えっ!?」
男の人の体が上にのっかかり、まるで抱きしめられているような状態。
ちょ、ちょっとぉ……!
かぁあっと一気に顔が熱くなる。
だけど……
目の前で見えた男の人は、真っ青な顔をしていて
「いきなり…心臓が…っく…」
胸元を押さえたまま、息を荒ませている。
うそ…!
まさか…心臓発作!?
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて手を伸ばしたとき。