遥か~新選組桜華伝~
ふいにバタバタと迫ってくる足音が聞こえた。
「どうしたんですかっ!!」
叫びながら飛び込んできたのは
「沖田さんっ!」
沖田さんに気を取られて、一瞬男の人から目を離した……
「あ…れ…。痛みが消えた…?」
顔の横で、ポツリと呟くのが聞こえた。
胸を押さえていた手のひらを呆然と見つめている男の人。
真っ青だった顔色も良くなっている。
今の発作……。
いったいなんだったんだろう?
考えていると
「どこを探してもいないと思えば…。これはいったい…」
沖田さんが青ざめた顔で呟いた。
そうだ…!
私…まだ押し倒されたまま…!
「あ、あの…沖田さ…っきゃ!」
説明する暇もなく、沖田さんは強引に私を男の人から引きはがした。
そして口を尖らせて男の人を睨む。
「いきなり遥さんになんてことしてるんですか!
…土方さん!」