遥か~新選組桜華伝~


え……?


「歴史を…変える…?」


私がこの国の…。


「どういう…ことですか?」


思わず問いかける。


「簡単に言えば、殺してほしいんだ。
開国を阻む幕府の犬共をな」


「……殺すって…」


私が……?


「ほ、本気で言ってるんですか?私にそんな力があるわけないじゃないですか!」


肩を掴む手を振り払おうとすると、手首を強く掴まれて


ドンッ


「…やっ!」


背中を壁に押し付けられた。


「何寝ぼけたことを言ってる」


じりじりと顔を近づけられる。


「おまえが桜華石に願えば、百人…いや千人の命を一瞬に奪うことができるだろう」


そう説明する遥空は狂気に満ちた表情をしていた。


桜華石に命を奪う力があるなんて…。


そんなの…


「…嫌です」


私は遥空の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「たとえ私に力があっても、人殺しなんて絶対にしたくありません!」


< 37 / 276 >

この作品をシェア

pagetop