遥か~新選組桜華伝~


「吐き気がするくらい真面目だな」


嘲笑うように言い、遥空は後ろの土方歳三を指差した。


「さっきは桜華石の力でそいつを殺しかけたくせに」


「な…っ」


土方歳三が目を見開く。


「わ、私は殺そうとしてなんか…」


「そんなはずないだろ?

現にその男に心臓発作が起こっていた。

おまえが石に願わなきゃ発動しない力だ」


あのとき…


私は土方歳三に襲われかけて、とっさに助けてと願った。


それで力が発動してしまったの…?


「まあ…想いが弱すぎて未遂で終わったけどな」


遥空は興味なさそうに告げると


「とにかくおまえは俺と来てもらう。嫌がるなら力づくでも連れて行くからな」


グイッ!!


私の腕を思い切り引っ張った。


「や、やだ…!」


行きたくない!

人殺しなんて絶対嫌!


必死にその腕を振り払う。


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