遥か~新選組桜華伝~
一 幕末へ、時を超えた出会い
「やぁーメン!」
パァーンと竹刀の音を響かせ、駆け抜ける。
刀を収めて振り返ると、微笑むお父さんの姿があった。
「よし、今日はこのくらいにしようか」
「はい!」
黙想をして礼をすると、一気に体から力が抜ける。
やっと終わった…!
お父さんの稽古は厳しすぎるんだよ!
フラフラの体でやっと防具を片付ける。
6歳から剣道をはじめてもう10年。
16歳になった今では、県大会で優勝できるレベルになった。
これもきっと長いキャリアのおかげだと思う。
それでもきつい稽古は365日、一日たりとも休みはない。
それはこの市川道場の一人娘である私
市川遥(いちかわはるか)
の宿命なのかもしれない。