遥か~新選組桜華伝~

「そうだ。
本来新選組は女人禁制だが、こいつはここに置くしかない」


眉をひそめて、淡々と言葉を続ける。


「俺らの内部事情を知るかもしれねえ女だ。

見張る意味でも都合がいいと思うんだが…どうだ、近藤さん?」


「いいだろう。私達の目の届くところに置いたほう安心だ」


近藤さんは大きく頷いた。


「遥」


土方歳三に呼ばれて、顔を上げる。


「そういうわけだ。おまえは今日から新選組が預かる。
逃げる気なら、今すぐにおまえを斬る」


”斬る”という単語に、ゾクッと背筋が氷る。


うぅ…。

やっぱり鬼の副長は怖い…。


殺されるくらいなら、ここにいたほう100倍マシだよ。


未来に帰る方法だって探せばあるかもしれない。


だから…


「私をここに置いてください」


今は彼らの言うことを聞くしかないんだ。


< 52 / 276 >

この作品をシェア

pagetop