遥か~新選組桜華伝~
「そうだ。
本来新選組は女人禁制だが、こいつはここに置くしかない」
眉をひそめて、淡々と言葉を続ける。
「俺らの内部事情を知るかもしれねえ女だ。
見張る意味でも都合がいいと思うんだが…どうだ、近藤さん?」
「いいだろう。私達の目の届くところに置いたほう安心だ」
近藤さんは大きく頷いた。
「遥」
土方歳三に呼ばれて、顔を上げる。
「そういうわけだ。おまえは今日から新選組が預かる。
逃げる気なら、今すぐにおまえを斬る」
”斬る”という単語に、ゾクッと背筋が氷る。
うぅ…。
やっぱり鬼の副長は怖い…。
殺されるくらいなら、ここにいたほう100倍マシだよ。
未来に帰る方法だって探せばあるかもしれない。
だから…
「私をここに置いてください」
今は彼らの言うことを聞くしかないんだ。