遥か~新選組桜華伝~
「じゃあ山崎には明日紹介するとして…夜も遅いし、今日はここまでにしよう」
近藤さんが手を叩く。
終わった…。
なんとか命は助かったみたい…。
緊張の糸が解けて、体がドッと重くなる。
遥空が攻めてくるかもしれないし、未来に帰る方法もわからない。
まだまだ不安も消えないけど。
うつむいたままの私の横で
「屯所内に空き部屋はあるか?」
近藤さんが尋ねる。
「僕の部屋の隣が空いてますよ」
「丁度いい。そこを遥くんの部屋としよう。
総司、案内してやってくれないか?」
「わかりました」
沖田さんが私の方を振り返る。
「では遥さん、行きましょうか」
「は、はい」
慌てて立ち上がろうとするけど、疲れのせいか思うように動けない。
フラッ
体がよろけて後ろに倒れていく。
こ、転ぶ…っ!