遥か~新選組桜華伝~


新しく入隊する女医者?


それって……


「遥さんを待っていたみたいですね」


沖田さんが笑顔で言った。


けれど。


目が全然笑っていなくて…


沖田さん…すごく怖いような…。


「おい、いいから早く隠れろ!
覗きがバレたら、副長に殺されるぞ!」


「お、おう!」


足音が騒がしくなった瞬間、沖田さんがガラッと襖を開けた。


真っ暗な部屋を、沖田さんが持っていた蝋燭の明かりが照らす。


見えたのは…二人の男の人の姿。


「何してるんですか。永倉さん、原田さん…」


沖田さんがニコニコと笑いながら声をかけた。


「げっ総司!」


一人の人が驚いたように叫ぶ。


「き、奇遇だな…!」


もう一人が青ざめた顔で視線を泳がせていて


「えーっとだな。俺達はちょっとこの部屋に用があって……ん?」


いつの間にか、男の人の視線は私に向けられていた。


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