遥か~新選組桜華伝~
「なんだよーつまんねえな」
「まっ俺的にはそっちのほうが都合いいんだけどね」
永倉さん、原田さんが次々と言い、部屋を出て行く。
2人の背を見つめながら。
胸に手を当て、心を落ち着かせていると…
「でも…未来ではそうなっているかもしれませんね」
沖田さんがいたずらっぽくクスリと笑った。
「え…っ」
再び鼓動が早くなる。
ドキドキしながらうつむいていると、沖田さんが顔を近づけてくる。
「お、沖田さん…」
「ふふ。そんなに顔を赤くして…可愛いですね」
そっと耳打ちをされた。
ドキン─…
心臓が最高潮に高鳴る。
「何話してんだ総司?」
後ろで、永倉さんが問いかけるのが聞こえた。
「なんでもないですよ」
沖田さんは変わらない笑顔で答え、2人の元へ歩いて行く。
今、可愛いって……。
談笑する3人の後ろ。
私だけが1人、火照った顔を手で隠していたんだ……。