遥か~新選組桜華伝~
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「すげぇ……」
気づけば彼女が竹刀を振るう姿に、稽古場にいた全ての者が見入っていた。
透き通る声とキレのいい竹刀の音。
小さな体から繰り出されるしなやかな技。
そして…真っ直ぐな瞳から感じられる強い意志。
精神と動作が一つになったような動きを見つめ、沖田は呟いた。
「桜…」
「…総司?」
隣にいた藤堂が、首を傾けながら問いかけた。
「まるで…春風に華麗に舞う桜のようだなって…」
美しく繊細なのに…強さを感じる。
遥さん…。
瞬きすることも忘れ、彼女に釘付けになる沖田を見て…藤堂は笑顔を浮かべる。
「…そうだな」
頷く彼の瞳もまた、彼女を離せないでいたんだ───・・・