遥か~新選組桜華伝~
沖田さん……。
「ごめんなさい…。
私のせいで貴重な休みを使うことになって…」
しゅんとなっていると、沖田さんは優しい笑顔を見せてくれた。
「気にしないでください。
いつ遥空が攻めてくると思うと、遥さんも不安でしょう?」
「それはそうですけど…でも」
「これは新選組としても最重要任務なんです。
彼の野望を止めることが、僕らにできる将軍様への奉公です」
「むしろ光栄なんですよ」と沖田さんは明るい声で付け足した。
「ありがとうございます…」
沖田さん…本当に優しい人…。
沖田さんを玄関まで見送ると、その姿はあっという間に町へ消えていく。
私がここへ来てから数週間。
近藤さんも土方さんも沖田さんも、ほとんど休まずに働き続けている。
それに比べ私は…
一日のほとんどの時間を持て余してしまっていた。