遥か~新選組桜華伝~


この時代には学校もないし友達もいない。


一人でいたってテレビや雑誌なんてモノもない。


暇だなぁ…。

せめて何か役に立てることがあれば…。


そう思って今日は屯所の玄関を掃除をすることにした。


私がタイムスリップしてきた季節は冬。


木の箒で玄関前を掃いていると、はらりはらりと雪がちらつき始める。


見上げた空はどこまでも深い白で…。


舞い降りてくる結晶をぼんやり眺めていると、頬にその一つが落ちた。


冷たい…


気温も下がってきたし、早めに済ませてしまおうと箒を掃く手を速めたとき。


何人かの隊士が通りかかった。


私の姿を見つけると、隊士達はパタパタと駆け寄ってきた。


「「おはようございます遥師匠!」」


「おはようございます…って…」


師匠…!?


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