遥か~新選組桜華伝~
「あの…その呼び名は…?」
びっくりして尋ねると
「俺達…この前の副長との稽古を見て、師匠の剣に一目惚れしたんです!」
「どうか俺達に剣を教えてくれませんか?」
隊士達はきらきらと目を輝かせながら答えた。
「教えるのはいいんですけど…その師匠って呼び名はちょっと…」
どう見ても私のほうが年下だし…。
日々きつい稽古を重ね、隊務をこなしている彼らはむしろ尊敬に値するもん。
「えぇー!いいじゃないですか師匠ー!」
「それより早く稽古に行きましょうよ師匠ー!」
も、もう…!
やめてって言ってるのに…!
隊士の一人が私の腕をつかむと、一秒さえ惜しむかのように稽古場に急ぐ。
腕を引かれ小走りになりながら小さくため息をついた。
強引なんだから…。