遥か~新選組桜華伝~
顔を上げると…
包帯や水を手に、一息つく暇もなく隊士の手当てをしている山崎さんの姿が見えた。
私も…頑張らなきゃ…!
「あの…私はこちらの方の手当てしますね」
「お願いします」
山崎さんが頷くのを見て、私は怪我している隊士の隣に座る。
「手当てするので傷口を見せてください」
「…お、お手柔らかに頼みます」
隊士は真っ青な顔でガクガクと震えながら腕を差し出してくる。
…山崎さんはいったいどんな手当てをしているんだろう。
ふと疑問に思ったけど…
「大丈夫です。きちんと処置すればすぐ治りますから」
隊士達を安心させなきゃと思い笑顔で答えた。
差し出された腕を取ると…浅い刀傷だった。
丁寧に洗い、拭いて、包帯を巻いていく。
幸いどの隊士の怪我も、命に別状はなさそう…。
だけど…。
怪我をしてから時間が経っているせいか…中には傷が化膿している人もいた。