遥か~新選組桜華伝~


顔を上げると…

包帯や水を手に、一息つく暇もなく隊士の手当てをしている山崎さんの姿が見えた。


私も…頑張らなきゃ…!


「あの…私はこちらの方の手当てしますね」


「お願いします」


山崎さんが頷くのを見て、私は怪我している隊士の隣に座る。


「手当てするので傷口を見せてください」


「…お、お手柔らかに頼みます」


隊士は真っ青な顔でガクガクと震えながら腕を差し出してくる。


…山崎さんはいったいどんな手当てをしているんだろう。


ふと疑問に思ったけど…


「大丈夫です。きちんと処置すればすぐ治りますから」


隊士達を安心させなきゃと思い笑顔で答えた。


差し出された腕を取ると…浅い刀傷だった。


丁寧に洗い、拭いて、包帯を巻いていく。


幸いどの隊士の怪我も、命に別状はなさそう…。


だけど…。


怪我をしてから時間が経っているせいか…中には傷が化膿している人もいた。


< 85 / 276 >

この作品をシェア

pagetop