遥か~新選組桜華伝~
「見ず知らずの私に居場所をくれて、優しくしてくれて…。
そんな皆さんのために、私も何かしたいって思いました」
「それが巡察中の手当てってわけか」
「はい。私にできることはそれしかありませんから…」
土方さんの目を見て笑顔で言った。
何か一つでいいから…。
私も新選組の役に立ちたい…。
土方さんは「はぁ…」と大きなため息をつく。
「…優しさは上等だけどな」
呟くのが聞こえたかと思うと、肩を強く掴まれる。
「え…っ」
そのままドンッと壁に押し付けられた瞬間ー…
ザッ…!
土方さんが持っていた刀で私の首ギリギリを突いた。
「…っ」
体が氷りついたように動かなくなる。
土方さんは私の首で刃先を止めながら冷たく睨んできた。