遥か~新選組桜華伝~
「覚悟はあるのか?」
「かく…ご…?」
「いつ斬り合いになるかわからねぇ、巡察は危険と隣り合わせの任務だ。
それに遥空が現れる可能性だってある…」
そう言ってて…土方さんは刀を突きつけたまま、私の胸ぐらを掴んだ。
「てめぇの命を懸ける覚悟はあるのかって聞いてんだよ」
「…っ」
首元の刃より鋭い瞳で睨まれ、全身がゾクッとなった。
怖い…けど…。
これでびびっているようでは、巡察中の手当てなんて到底務まらない。
「…あります!」
土方さんを見上げ、はっきりと言い切った。
「遥空が現れたら…おまえを助けれる奴はいねえかもしれねえぞ?」
「自分の身くらい自分で守れます。
それに…新選組は遥空を探してるんでしょう?」
「そうだ。
けれど、それとテメェの巡察への同行になんの関係がある?」
土方さんが怪訝そうに問いかけてくる。
「…遥空は私を狙ってます。
私が巡察に同行してるのを知れば、現れるかもしれません」