遥か~新選組桜華伝~
───・・・
「いいだろう。おまえの巡察への同行を許可しよう」
土方さんが刀を外すと、私は壁にもたれたまま崩れ落ちた。
「本当…ですか…?」
「あぁ。ただし条件がある」
土方さんは刀を鞘に収めながら口を開いた。
「おまえが同行していいのは総司、新八、一の隊の巡察のみだ」
沖田さんと永倉さんと斎藤さんの隊…?
?マークを浮かべ首を傾けていると、土方さんは口角を上げる。
「あいつらは新選組の中でも指折りの強さだ。
だから巡察中に逃げようなんて考えるんじゃねえぞ?」
「なっ!」
疑われてる…!?
「私は逃げたりなんかしません!」
思わず立ち上がって叫んだ。
土方さんはふっと息を漏らすと、私の顎を指で持ち上げる。