遥か~新選組桜華伝~
…土方さんはずるい。
意地悪かと思えば…優しくしてきたり。
馬鹿にしてきたと思えば…いきなり真剣になって。
いつだって…私の心をかき乱すんだ…。
でも…
「ありがとうございます…」
嬉しくて…。
私のことを守ろうとしてくれることが嬉しくて…。
気づけば涙が溢れ出していた。
「あれ…私…なんで…」
慌てて涙を拭おうとすると…。
「殺されても信念貫こうとしてた奴が…今度は泣くのかよ…」
土方さんが呟くのが聞こえた。
その瞬間─・・・
「…っ」
グイッと土方さんの胸に背中を引き寄せられた。
「ひ、土方さん…っ?」
びっくりして思わず声を上げる。