遥か~新選組桜華伝~


…土方さんはずるい。


意地悪かと思えば…優しくしてきたり。


馬鹿にしてきたと思えば…いきなり真剣になって。


いつだって…私の心をかき乱すんだ…。


でも…


「ありがとうございます…」


嬉しくて…。


私のことを守ろうとしてくれることが嬉しくて…。


気づけば涙が溢れ出していた。


「あれ…私…なんで…」


慌てて涙を拭おうとすると…。


「殺されても信念貫こうとしてた奴が…今度は泣くのかよ…」


土方さんが呟くのが聞こえた。


その瞬間─・・・


「…っ」


グイッと土方さんの胸に背中を引き寄せられた。


「ひ、土方さん…っ?」


びっくりして思わず声を上げる。


< 95 / 276 >

この作品をシェア

pagetop