君のすべてに
校門を出て近くの公園まで走ってきた。

「あ゛~シンドイ…」
ゼェゼエと荒い息づかいをしながら人気のない公園のブランコに座る。

「カバちゃんウケる!」
「また注意でしょ!いい加減ウザい」

二人でさっきの話でさんざん盛り上がり、だんだんと話はそれて恋話。

女の子って暇なときは、誰がかっこいいだの誰と誰が付き合っているだの、くだらない話が大好きで、その中でも一番好きなのは恋話なのだ。

「そういえばさぁ、莉里は彼氏作んないわけ?」

私も一応女だけど、恋話は苦手。
苦手っていうか、あまり話したくないって言うのが本当の気持ち。

「う~ん」
サキの質問に対して答えになっていない返事をして「ダルいわぁ」とだけ言った。

ダルいっていうのは嘘ではない。でもそれ以外に作らない理由がある。

簡単に言えば好きな人が居るってこと。
詳しく言えば私は幸せになる資格なんてないってこと。
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