君のすべてに
「もう帰ろっか」

何時間ここに居たのか分からないけど空は薄っすらと赤くなっている。

「そうだね」

ブランコを降り鞄を手にしようとしたとき重大な事に気がついた。

「…サキ。うちら上履きのままだ…」

過去の記憶を辿るとカバちゃんに見つかりそのまま逃げて来たことを思い出した。
「あちゃぁ~どうする?学校戻る?」

「戻ろっか」

とりかけていた鞄を持ち学校へと急いだ。

学校に着くといつも賑やかな学校ではなく、静かで生徒も居ない。

「なんかワクワクするね」
隣ではいつもと違う学校の様子で楽しそうにキョロキョロしているサキ。

「ガキかよ」
そんなサキを横目に見ながら自分も少しだけ楽しくなってきた。

「ちょっと探検していかない?」
キラキラと本当にガキみたいに目を輝かせるサキの提案。いくら面倒くさがりな私でも提案を却下するほど悪い人じゃない。

「いいよ」
私の返事を聞いて「ヤッタ!」と喜んでいるサキ。

「でもカバちゃんとかに見つからないようにね」
「ほいほい」
聞いているのかいないのか分からないが先に行くサキを追いかけて、いつもは出入り禁止の屋上に行くことにした。
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