忘 恋

父の大智は、
「大体の話は、わかりました。
私達みたいな一般な人間には
政略結婚とか、想像も出来ない
世界ですが
留衣君のお父さんは、
雫との結婚を認めているのですか?
私達夫婦は、娘が幸せに
なってくれるのが、一番です。
ですが、雫が辛い思いをするなら
認めることはできません。」
と、私の顔を見るから

私は、
「一度、留衣と別れた時
体調をくずすまで苦しかった。
でも、私だけでなく、その時
留衣も傷ついていたの。
後で、わかったことだけど。

私は、翔君も可愛いし
留衣と一緒なら、幸せなの。
お父さん、お母さん、
留衣との結婚を認めて下さい。」
と、両親に頭を下げる。
「私の両親、姉夫婦も
賛成してくれています。
まあ、母親と姉が、
父をねじ伏せましたが。」
と、留衣。

「二人の気持ちは、わかった。
雫‥‥‥‥幸せになりなさい。」
と、お父さん。
お母さんも、うん、うんと言ってくれた。

「「ありがとうございます」」
と、留衣と私は頭を下げた。
「翔君ってね、留衣と違って
可愛いの、今度会ってね。」
と、両親に話すと
「お前さ、何で、俺と違うって。」
「だって、留衣は俺様じゃない。」
と、言いあっていると
二人の言い合いを聞いて
お母さんは、
「あらあら、本当に仲良しなのね。」
「なっ、うん、とても大切に
してもらってるよ」
と、私。

留衣は、
「早々なんですが、
ひと月後に式場を押さえました。
身内だけで式をあげたいと思いますが
いかがですか?」
と、訊ねるとお父さんは、
「問題ないよ。」と。
「籍は、明日にでも、と考えています。
それと、三人で暮らせる場所に
引っ越しをします。
今から先、子供も増えると思いますから。
そして私の両親にも、
一度会ってほしいのですが。」
と、言うと
「二人の考え通りでいいよ。
留衣君のご両親と日程を決めて
連絡してくれたら、いいよ。」と、父。
「ありがとうございます。」と、留衣。

「二人とも、お腹すいたでしょ。
ご飯食べて帰りなさい。」
と、母が。
私も手伝いに、キッチンに行った。
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