忘 恋


俺は、翌日、雫を呼び出し
言葉の限り罵倒した。
「お前みたいな、いち高校教師の娘を
俺が、本気で相手にすると
思っていたのか?
おめでたい奴だな。
俺は、最愛のルナさんと
結婚するだ。
だから、お前は二度と俺の前に
現れるな。」
と、言って

指輪を取り上げて、
「出ていけ!!」
と、追い出した。

雫は、ガタガタ震え‥‥‥
 顔を崩し‥‥泣きながら‥‥
    出ていった。



俺は、床にくずれ‥‥

「雫、俺のしずく、
俺を憎め、俺を憎んだ方が
お前には、生きるバネに
なるだろう。
俺の、心はお前にくれてやったから
もう、俺には心はない。
雫。お前を心から愛している。」



雫から奪った指輪を
チェンにはめ、首にかけ
それを握りしめて
俺は、朝まで泣いた。


次の日の朝には、
俺の人格は、冷酷極まりない
人間にかわった。



雫以外に、優しくする必要などない。

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