【短】アイツの秘密
私と悪魔は、フェンスによりかかった。

「なんで鍵持ってるの?」

「芸能人だから」

「は?」


芸能人だから。

いや、なんで芸能人だからって鍵貸してもらえるの?


「俺が芸能人の、そうただって気付かれた時に、ここに隠れれば大丈夫じゃん?ここにあいさつに行った時貰ったんだよ。だから先生は全員俺が芸能人の、そうただって知ってるよ」

ニヤッとして、鍵を見せびらかしてくる悪魔。

「へぇ……」

なんかうざくてどうでもよくなってきたかも。

「てか、お前誰にも言ってねぇよな?俺がそうただって」

「言ってないよ……」


襲われるの嫌だからね。

でもいつかばらしてやるよ?

私は、フッと笑った。






それから、奏多からいろいろ聞いた。

芸能生活についてとか、好きな子の話とか。


なんか好きな子とあんまうまくいってないらしいけど。



前までの私だったら馬鹿にして笑ってたはずなのに、なぜか今は笑えなかった。なんでかはわからないけど……そのまま静かに聞いてた。
< 15 / 42 >

この作品をシェア

pagetop