【短】アイツの秘密
* * *

放課後、私は奏茄と2人で秘密基地に来た。

私と奏茄は、幼稚園の時から一緒で、小学生の時たまたまいつもと違う道で帰った時、綺麗な湖があるところを見つけた。そこが、あの時から私と奏茄の秘密基地になった。

「久しぶりに来たね」

奏茄が大きく深呼吸しながら、下の芝生に寝転んだ。

「そうだね…」

本当にここに来るのは久しぶり。

今思えば、高校に行くようになってから1回も来ていないような気がする。

「あっ香苗!!あれ見て」

奏茄が、湖の向こう側を指差した。

「わぁ~」

そこには、まるで湖の中に消えていくような太陽の姿があった。


「写メ撮ろっ!」

「うっうん!!」


私は、鞄の中を探った。

「あれ!?」


携帯がない!!

ガサガサと、鞄の中身を全部出してみたけどない!!


「うそぉ~~」

「学校にでも忘れてきたんじゃないの?」


奏茄が携帯を素早く打ちながら言ってきた。

「そっそうかも……」

「一緒に行こうか?」

「ううん!1人で行く」

「そう?じゃぁ気を付けてね」


手を振り振りしながら自転車に乗って奏茄は、家に帰ってしまった。


早く行かなきゃ!

私は急いで中身を鞄に詰めて、自転車を走らせた。
< 4 / 42 >

この作品をシェア

pagetop