ぎゅってしてもいいですか。
「名前は?」
困った顔をするエンジェルちゃんに南緒がたずねる。
「んと……永澤くんっていう人」
「永澤くんっ?」
思わず声がうわずった。
……やばいやばい。
「あー……そーいや買ってたねぇ。それに友達にも呼ばれてたし」
あきれながら南緒がため息。
「……そーなの。それで、届けてもらえないかなって。
エンジェル、まだ色々あって、店番離れられないの」
申し訳なさそうにしゅんとするエンジェルちゃん。
「ふぅん、そっか。……いいよ!」
南緒は明るく笑うと、私にもいいよね?と問いかけた。
「……う、うん。いいよっ」
あわてて返事をすると、南緒は怪しくにやぁっとほくそえむ。
私は、その笑顔の本当の意味に気づかないでいた。