ぎゅってしてもいいですか。




んー……、いないなぁ……。



教室に来てみたけど、永澤くんはいないみたい。


今、南緒と2人で、私は校舎内、南緒は校庭で手分けして探してるんだけど……どこ行ったんだろ。



早く見つけないと……。


さすがにこの小悪魔のカッコで校舎内を歩き回るなんて恥ずかしすぎるもん。


ほら、知らない人からもヒューゥなんて言われて。


愛想笑いでヘコヘコ。


こ、こわいよぉ……。





「……ね、あのさ、永澤くん……知らない?」


クラスの子に声をかけてみる。


「え?」


振り向いたのは、西荻太貴くんだった。


……あ、南緒が好きな人。


改まってこう見るとほんとフツーにかっこいい。

爽やか系っていうのかな。


髪も黒くてサラサラ。

顔の輪郭もシャープで、目がぱっちり、眉毛がきりっとしてる。



南緒もやるなぁ。


「ちょっと永澤くんを探してて。どこにいるか知ってる?」


すると視線をさ迷わせながら、落ち着かない様子で「ごめん、知らない」と教えてくれた。


多分、これだ。この小悪魔の衣装のせい。

きっと目のやり場に困ってるんだろう。



……ごめんね、ほんと。うん。



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