ぎゅってしてもいいですか。
「あっ!」
不意に声が聞こえて、駆け寄る足音がした。
「苅谷!」
……苅谷 南緒……うちの名前を呼ばれ、とっさに振り返る。
そこには、息を切らせた永澤がいた。
「なっ、ななな永澤っ?!」
思わず声が裏返って。
「はぁ……はぁ……っあのさ、俺の財布……知らない?」
肩で息をしながら、呼吸を整える。
額には汗が光ってて、サラサラの髪が張り付いて。
よっし。ここからが本番だっ。
21世紀の恋のキューピットをナメちゃーあかんぜよ!