ぎゅってしてもいいですか。
そんなことを考えてるうちにも、永澤くんはどんどん人をかき分けて。
私たちと不良達のせいで、あちこちで叫び声が上がってるよ。
なんだか申し訳ないけど……今は許してくださいっ。
「おいっ!!!待てっつってんだろ!!!てめえっ!!!」
ドスのきいた声があたりに響く。
けど、この人ごみだもん。思うように進めないようで。
「なぁにやってんだぁッ!!!!!!」
突然、不良達よりも怖い、聞き覚えのある声が空中に飛び散った。
「うわ……っ、逃げろ、早くしろよ!!」
涙と焦り、恐れが混じったような声でひとりが言うと、
不良達みんな私たちとは真逆の方向へ走っていく。
……それのあとを追うようにして走ってく人も……。
……ん?あれは……。
目を細めてその主を見つめて。