ぎゅってしてもいいですか。




そんなことを考えてるうちにも、永澤くんはどんどん人をかき分けて。



私たちと不良達のせいで、あちこちで叫び声が上がってるよ。



なんだか申し訳ないけど……今は許してくださいっ。



「おいっ!!!待てっつってんだろ!!!てめえっ!!!」




ドスのきいた声があたりに響く。


けど、この人ごみだもん。思うように進めないようで。








「なぁにやってんだぁッ!!!!!!」







突然、不良達よりも怖い、聞き覚えのある声が空中に飛び散った。



「うわ……っ、逃げろ、早くしろよ!!」



涙と焦り、恐れが混じったような声でひとりが言うと、

不良達みんな私たちとは真逆の方向へ走っていく。



……それのあとを追うようにして走ってく人も……。



……ん?あれは……。


目を細めてその主を見つめて。











< 116 / 421 >

この作品をシェア

pagetop