ぎゅってしてもいいですか。
《蛍人side》
……なんか、なんなんだろ。
なんてゆーのか。
ちょっとよく分かんないけど。
保健室で2人っきりはさすがにダメだ。
今日も月乃のせっけんの香りが漂う。
理科室でも香った、至近距離でのあの匂い。
ホントいい匂いするんだよなぁ。
クラクラしてくる。そんな俺って、変態かな……?
「だーめ。ちゃんと目見て。こっち見てお礼言って?」
……そんな意地悪を言ってみる。
何故かは知らないけど、いじめたくなるんだよなぁ、この子。
「ふえぇ……っ?!」
あ、照れた。真っ赤。
……やべぇ、つられる。
「えぇ、えっと……それは、ちょっ、と、困り、ます……」
明らかに困ってんだろーな、いきなりそんな事言われて。
「ふぅん?じゃーずっとこのままだよ?」
でも、さらに追い打ちをかける。
「そ、それは辛い、かな」
月乃の反応、面白すぎ。
……けど、一向に目を合わせてくれない。
俺ってやっぱ、嫌われてる?
理科の時間中だって目を全力でそらされたし。
理科室ドア事件でも、なんか逃げられたし。
もう、今直接聞いてしまおうか。
その場のノリで、冗談交じりに俺、嫌われてんのかなぁ……とつぶやいた。
そしたら。
「あの、それは違うよっ!嫌ってなんか……」
……え。
フツーに嬉しかった。
それに、やっと目線を合わせてくれた。