ぎゅってしてもいいですか。
それはまあ、ほんの何分かの、ちょっと前に遡るんだけれど────。
────────『月乃!持ってきたよ』
一人ぼっちの屋上階段で聞こえたのは、大好きな君の声。
そこには、ジャージを手に持った永澤くんがいた。
さっきまでの出来事に、完全にメンタル崩壊中だった私は、誰かがいないと、
すぐにでもまた泣き崩れてしまうような状態で。
『なっ、ながっ、永澤くぅぅぅーんんんぁぁああぁ~』
彼の姿を見た瞬間、やっぱ泣いちゃって。
けど、そんな私にも優しくジャージをかけてくれ。
…………永澤くん……。
ほんと優しいなあ、もう。